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《過去の展覧会2016年》

□ 2016年1月16日(土)→2月6日(土) 川又 仁奈 「光の透過」展

□ 2016年4月9日(土)→4月30日(土) ヴィサルート・アンカタワニット 「ベタ」展

□ 2016年6月18日(土)→7月9日(土) 佐竹龍蔵展 「ちいさなものたち」

□ 2016年9月3日(土)→9月15日(木) フィリピン現代作家5人展 「2664km」

□ 2016年9月17日(土)→10月1日(土) マーティン・ホナサン展 「Even These Stones Will Cry Out」

□ 2016年11月19日(土)→12月17日(土) 藤井 健仁展 「New Personification: 鋼鉄のグランギニョール - Grand Guignol en Acier -」





  2017年開催の展覧会はこちら >>>>>


  2015年開催の展覧会はこちら >>>>>

  2014年開催の展覧会はこちら >>>>>

  2013年開催の展覧会はこちら >>>>>

  2012年開催の展覧会はこちら >>>>>

  2011年開催の展覧会はこちら >>>>>

  2010年開催の展覧会はこちら >>>>>

  2009年開催の展覧会はこちら >>>>>

  2008年開催の展覧会はこちら >>>>>

□ 川又 仁奈「光の透過」展

     2016年1月16日(土)~2月6日(土)



■ 展覧会名 川又仁奈 「光の透過」 展

■ 出品作家 川又 仁奈

■ 会  期 2016年1月16日(土)~ 2月6日(土)
  閉廊日:日・月曜日、開廊時間:12:00~19:00

■ 会  場 YOD Gallery
  530-0047 大阪市北区西天満4-9-15  TEL/FAX 06-6364-0775
  www.yodgallery.com
  info@yodgallery.com


■ レセプション・パーティー
  1月16日(土)18:00~ YOD Galleryにて

■ お問い合わせ
  YOD Gallery
  530-0047 大阪市北区西天満4-9-15  TEL/FAX 06-6364-0775
  E-mail: info@yodgallery.com
  ※画像データなどご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

 

 

□ 趣旨
  このたびYOD Galleryでは、弊廊では2013年以来二度目の展示となります川又仁奈 (Nina Kawamata, b.1987)の個展「光の透過」を開催いたします。

  川又はこれまで、伝統的な日本画の技法を駆使しながら、草花で装飾された西洋の神話に登場するような人物や天使を創造的に描くことにより、理想郷や崇拝の対象、自然と人間というテーマで独自の世界感を表現してきました。 今回の展示では、人の感情や心象により焦点を当て、伝統的な日本画のミディウムと樹脂を組み合わせた新たな表現に臨んでいます。

  川又は、日本画のミディウムである絹や岩絵具を最大限に生かせる方法に関して考察を重ねた結果、伝統的な形式である軸装を脱却し、岩絵具により描かれた絹を樹脂でコーティングすることにより、 その描写されたイメージの持つ透明感を活かす手法を新たに取り入れました。このことより、作品は光の当たり方や角度の違いによって鑑賞者に違った印象を与え、同じ対象に対して人それぞれ違った捉え方があることや、価値観の相違などを示唆します。

  今回のテーマである人の感情、内面、心象の揺らぎのようなものを、軸装からの脱却によって可能になった岩絵具の絶妙な加減の薄塗りや、絹の透明感が繊細に表現しています。 このような手法によって描かれた顔の表情からは、人の内面の複雑さや、敏感さを読みとることができ、植物やヒビのような模様は心の多様な内面世界を描かれた人物に投影または付加しているようにも見えます。 川又は、生活や環境の変化から、自分と対峙する時間が増えたことにより、人の心や感情の問題について考えることが多くなったといいます。そのことがこれまで制作してきた壮大なテーマから、よりパーソナルで素直な表情の表現へと繋がったと言えるかもしれません。 ぜひこの機会にご高覧賜りますようよろしくお願い申し上げます。



生命の循環


前回の生きるというテーマに加え、心の繊細さ、不安、葛藤、依存などの複雑な感情を描こうと思う。

自己は自分以外の何者でもなく、他者と完璧に感情を共有することは難しい。

個人の価値観はそれぞれ独立したものであり、同じ言葉でもその解釈は微妙なずれが生じてくる。

何が真実で何が虚構であるのか。

自分自身はどうなのか。

それぞれ同じものを見ていても、またそれぞれで違うものが重なって見えている。

そんな繊細な感情のずれを、視覚的に表現できないかと考えた。


川又仁奈


□ 川又 仁奈(Nina Kawamata) プロフィール

1987年 茨城県生まれ
2013年 京都造形芸術大学大学院 芸術研究科 芸術表現専攻 修了


[個展・グループ展]
2009年 「月イチ展」、ギャラリースエヒロ、京都
2010年 「ELEVEN Girls Art Collection」、ながの東急百貨店、長野・GALERIE青踏、広島
        「A-CTION2010」、京都造形芸大内ギャルリ・オーブ、京都
        「アールデピュタントURAWA2010」、浦和伊勢丹、埼玉
        「春の宴の百鬼夜行」、ギャラリー上原、東京
2011年 「ELEVEN Girls Art Collection」、ながの東急百貨店、長野
        「三者三葉」、YODgallery、大阪
        「Re」、同時代ギャラリー、京都
        「ZOU 日本画orNOT」、海岸通ギャラリー・CASO、大阪
        「ELEVEN Girls Art Collection」、松屋銀座、東京
        「画心展」、むろまちアートコート、京都
        「Gombessa proposal ep1「I am japanese」」、BAMI Gallery、京都
2012年 「京都七星」、ギャラリーi、京都
        「艶展」、和歌の裏アートキューブD1、和歌山
        「日本の絵」、maronie、京都
        「SPURT展」、京都造形芸術大学ギャラリーAUBE、京都
        「生まれたてのかたち」、三越伊勢丹、大阪
        「T-ART in Taichun 2012」、台中、台湾
        個展「apoptosis」、高松天満屋、香川
        「Art Tainan 2012」、台南、台湾
2013年 「関西女子絵画展」、阪急百貨店本店、大阪
        contiguous zone ~領海~ 、銀座三越、東京
        個展 水戸京成百貨店、茨城
        個展 「生生流転」、YOD Gallery、大阪
        大学院修了制作展 京都造形芸術大学内
2014年 ART KAOSIUNG 2014、CHATEAU de CHINE、台湾
        ART OSAKA 2014、HOTEL GRANVIA OSAKA、YOD Galleryより、大阪
2015年 ART TAINAN 2015、Tayih Landis Hotel、台南



[受賞歴]
上羽絵惣株式会社奨学生
2008年 ミロのヴィーナスデッサンコンクール 優秀賞
2010年 「アールデビュタントURAWA2010」 入選

 


※作品
「花束」 2016
480×590 mm
岩絵具、絹、レジン


 
□ ヴィサルート・アンカタワニット「ベタ」展

     2016年4月9日(土)~4月30日(土)



■ 展覧会名 ヴィサルート・アンカタワニット 「ベタ」 展

■ 出品作家 ヴィサルート・アンカタワニット

■ 会  期 2016年4月9日(土)~ 4月30日(土)
  閉廊日:日・月曜日、開廊時間:12:00~19:00

■ 会  場 YOD Gallery
  530-0047 大阪市北区西天満4-9-15  TEL/FAX 06-6364-0775
  www.yodgallery.com
  info@yodgallery.com


■ レセプション・パーティー
  49(土)18:00~ YOD Galleryにて

■ お問い合わせ
  YOD Gallery
  530-0047 大阪市北区西天満4-9-15  TEL/FAX 06-6364-0775
  E-mail: info@yodgallery.com
  ※画像データなどご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

 

 

□ 趣旨
  このたび YOD Gallery では、弊廊では初めての展示となるタイ人写真家ヴィサルート・アンカタワニット(VISARUTE ANGKATAVANICH,b.1971)の個展「ベタ」を開催いたします。

  ヴィサルート・アンカタワニットは1993年にタイのチュラーロンコーン(Chulalongkorn)大学コミュニケーションアーツ学科を卒業。商 業分野で活動する傍ら生物写真を撮り続けています。活動20年目となる2013年、子供の頃の記憶を元に、当時飼っていた魚から着想を得たフィッシュプロ ジェクトを開始。以来、多くの魚を撮影し続けてきました。

  アンカタワニットが生み出すのは生物のポートレート(肖像写真)です。被写体である魚と作家の距離感はとても近く、白か黒を背景に目に飛び込んでくるの は魚のみ。その姿はドラマティックなライティングにより今にも動き出しそうなほど生々しく、また、一瞬の動きから微妙に変化する全体のシルエットや尾ひれ のたゆたい、透け、色みなどの表情は細部まで鮮明に映し出されています。イメージが生み出されるまでには綿密な準備と一瞬を捉える撮影中の奮闘があり、高 度な技術を要します。まず被写体となる魚の選定。魚の持つ独特な色や動き、尾ひれのサイズや模様に着目して選びます。次に水槽や背景、特殊な照明の技術と 水の準備。光を駆使して観る者の感情を揺るがすようなイメージへと作り上げていきます。そして撮影時には常に焦点を変え、魚を追い、捉えます。それらの高 度な技術を駆使して生み出された陰影は17世紀オランダの肖像画も彷彿とさせます。そのポートレートは「魚のありのままの姿を捉えたもの」だとアンカタワ ニットは言います。撮影のため整えられた環境で捉えられた「ありのままの姿」とは、作家の目に映る姿であり、作家自身の内面も映し出しているのかもしれま せん。

  今展にてご覧頂く「ベタ」は、アンカタワニットが世界の写真家に仲間入りするきっかけとなったシリーズです。ベタの原種はタイ、カンボジアに生息し、オス同士は激しく戦うことからタイでは“闘魚”として賭けの対象とされ、観賞魚として非常に長い歴史をもち文化、またはアイデンティティとして根付いています。発表当初より世界中の注目を浴び、2015年に発売されたiPhone 6sおよびiPhone 6s Plusではパッケージ写真や壁紙として採用されました。また、米国ABCニュースやyahooニュースといった認知度の高いウェブサイトや国際的な出版 物にも取り上げられており、近年では英国紙デイリーメールやガーディアンから雑誌ワイヤード、ヴァニティフェア(イタリア版)、タイ国際航空機内誌まで多 岐にわたり掲載されています。青や赤、ゴールドなど色鮮やかで個性溢れるベタ。まるで衣を翻し優雅に舞う踊り子や戦闘開始の合図を待つ戦士のようにも見え るその姿には様々な感情が見え隠れし、観る者の姿(内面)をも映し出すことでしょう。ぜひこの機会にご高覧賜りますようよろしくお願い申し上げます。


□ ヴィサルート・アンカタワニット(Visarute Angkatavanich)プロフィール

1971年 タイ生まれ
1993年 チュラーロンコーン(Chulalongkorn)大学コミュニケーションアーツ学科卒業


[個展]
2015年 「Aquacade」、セントラルエンバシー、バンコク、タイ
2016年 「Symphony of Betta」、セントラルエンバシー、バンコク、タイ

[グループ展]
2014年 Affordable Art Fair Singapore(5月、11月)、シンガポール
2015年 Affordable Art Fair New York(3月)、ニューヨーク
Affordable Art Fair New York(5月)、香港
Thai Nawatsilp, バンコク国際貿易展示場、バンコク、タイ
Affordable Art Fair Singapore(11月)、シンガポール
Art Kaohsiung、高雄、台湾
2016年 Singapore Contemporary Art Show、シンガポール



※作品上から
"Spring"、 2016年
60 x 75 cm、photography
"Allegro - Red"、 2016年
60 x 80 cm、photography
"The Prelude"、 2015年
80 x 80 cm、photography

 


 
□ 佐竹龍蔵展「ちいさなものたち」

     2016年6月18日(土)~7月9日(土)



■ 展覧会名 佐竹龍蔵展 「ちいさなものたち」

■ 出品作家 佐竹 龍蔵

■ 会  期 2016年6月18日(土)~7月9日(土)
  閉廊日:日・月曜日、開廊時間:12:00~19:00

■ 会  場 YOD Gallery
  530-0047 大阪市北区西天満4-9-15  TEL/FAX 06-6364-0775
    www.yodgallery.com
    info@yodgallery.com

■ 関連イベント
  アーティストトーク 7月9日(土)16:00~17:00
    クロージングパーティ 18:00~
    YOD Galleryにて

■ お問い合わせ
  YOD Gallery
  530-0047 大阪市北区西天満4-9-15  TEL/FAX 06-6364-0775
    E-mail:info@yodgallery.com
  ※画像データなどご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

 

 

□ 趣旨
    このたびYOD Galleryでは、2013年の弊廊における初個展以来二度目となる佐竹龍蔵(Ryuzo Satake, b.1987)の個展「ちいさなものたち」を開催いたします

    佐竹は、京都造形芸術大学在学中から個展及び様々なグループ展にて精力的に作品を発表し続け、独自の点描法を確立しました。岩絵具特有の透明感を生かし、単色を平筆で点のように薄く塗り重ね描画する肖像画が、京都府美術工芸新鋭展 毎日新聞社賞(2014年)、GEISAI#16片桐孝憲賞(2012年)、ART AWARD NEXT #1準大賞(2010年)を受賞するなど高い評価を受けています。

    佐竹の作品は、描かれたものの感情や置かれた状況や背景にある物語性があいまいで、その意味を感じ取るための適度な角度や距離を見る者に委ねられます。点描画面は下塗りの上に幾重にも重なる矩形の色面で構成され、溶き薄められた岩絵具の粒子が拡散し、下の色が透過することで透明感が高まり、ピクセルや光の存在も意識させます。微かに感じられる空間性や身体性から「希薄」という言葉で語られる肖像や風景画は、画面上にあふれる細かな線や色などパーツの中からぼんやりと浮かび上がり、ひとたび像を結んだと思うと拡散していきます。その姿は漫画やアニメのキャラクターや風景のようであり、また、現代日本の美意識の記号化にも読み取れます。「日本画から洋画、現代美術の様々なスタイルや各種の映像表現、更にはサブカルチャーでのキャラクター・イメージまでを等価に解きほぐし、それらのすべてを貫通して結像している*」と評される独特のスタイル、それを可能にする高度な技術により、佐竹は作品、鑑賞者、作家間の関係性や距離感を多義的にし、喜怒哀楽の区別がつかない情動を鑑賞者の内外に生み出します。

    2013年の展示ではそれまで自画像や同世代の青年像を中心に描いてきた佐竹が「こども」に焦点を移したことが新鮮でしたが、描かれるものが特定のイメージや存在と結びつくことはなく、また喜怒哀楽や身体感、画家による意思の介在は最小限に抑えられていました。本展では「風神雷神」や「龍」、佐竹の出身、高知に伝わる「しばてん(芝天)」など、日本の古典や伝承、日本の伝統美術に繰り返し現れ、人々の想像で描かれてきた存在、特に精霊や物の怪の類を題材とし、「だれでもない」存在から特定の存在へと変わっています。これらは佐竹が学んできた日本画をはじめ作家自身のルーツとも関わりがあり、作品における作家の存在が必然的に大きくなっています。しかし描かれる対象を希薄化、記号化する佐竹の点描は、鑑賞者それぞれの中に存在する精霊や物の怪を映し出す鏡となるのかもしれません。「伝承に描かれる彼らのイメージや物語は巨大だけれど、結局すべては人間の想像の中にあり、脳に収まる小さなものたちです。」と佐竹は言います。佐竹はこれらの存在を分解、再構成、また鑑賞者との距離感をあえて曖昧にすることで、その本質を描き出そうと試みます。ぜひこの機会にご高覧賜りますようよろしくお願い申し上げます。

(*出典:椹木野衣「残響する白い部屋のなかで---佐竹龍蔵の人物画」)



□ 佐竹 龍蔵(Ryuzo Satake) プロフィール

現在 京都市在住
2012年 京都造形芸術大学大学院 芸術研究科 芸術表現専攻 修了
1987年 高知県四万十市生まれ


[個展]
2015年 「あめかぜひと」、かるぽーと、高知
2014年 「やまのこえ」、アートスペース虹、京都
       「だれかのこども」、みうらじろうギャラリー、東京
2013年 「紙と絵具と絵画」、gallery near、京都
       「だれかのこども」、YOD Gallery、大阪
2012年 「どこでもない場所」、アートスペース虹、京都
       「GEISAI#16審査員賞受賞者展2 片桐孝憲賞受賞 佐竹龍蔵 個展」、Hidari Zingaro、東京
2011年 「他者たちの部屋」、かるぽーと、高知
       「T・ジョイ京都×京都造形芸術大学大学院生|佐竹龍蔵 個展」、T・ジョイ京都
       「佐竹龍蔵展」、アートスペース虹、京都
2010年 「佐竹龍蔵展」、アートスペース虹、京都
2009年 「佐竹龍蔵展」、かるぽーと、高知

[主なグループ展]
2015年 「日本画の楽しみ -新しい表現への挑戦-」香美市立美術館、高知
2014年 「ここで日本画を学びました。」、京都造形芸術大学 ギャルリ・オーブ
       「京都府美術工芸新鋭展」、京都文化博物館
2013年 「領海」、AKI gallery、台北
       「脈vol.3|ととと」、Gallery PARC 、京都
       「TOSA・美術アカデミー展」、かるぽーと、高知、’ 05 〜
2012年 「脈vol.2|ゆきてきゆ」、Gallery PARC、京都
       「Chikurinji Art Experience -私的超感覚-」、五台山 竹林寺、高知
       「Kawaii+大賞展」、スパイラルガーデン、東京
       「京都造形芸術大学大学院 修了制作展」、京都造形芸術大学 ギャルリ・オーブ
2011年 「ZOU-日本画 or Not-」、海岸通ギャラリーCASO、大阪
       「脈」、gallery PARC、京都
       「SPURT 2011」、京都造形芸術大学 ギャルリ・オーブ
       「T・ジョイ京都×京都造形芸術大学大学院生|顔見世展」、T・ジョイ京都



[受賞歴]
2014年 「京都府美術工芸新鋭展」、毎日新聞社賞
      「Concours des Tableaux」、最優秀賞、’11、’09 同賞
2012年 「GEISAI#16」、片桐孝憲賞
2010年 「ART AWARD NEXT #1」、準大賞

 


※作品 上から
    「龍」 2016
    1940×2610 mm
    木パネル、高知麻紙、岩絵具、顔料、膠

    「しばてん」 2015
    1621×1621 mm
    木パネル、高知麻紙、岩絵具、顔料、膠


□ 2664km -フィリピン現代作家5人展-

     2016年9月3日(土)~9月15日(木)



■ 2664km -フィリピン現代作家5人展-

■ 出品作家 レンツ・バルヨー、アレクサンダー・リム、ジェイソン・モンティノラ、
                    ニックス・プノ、カロイ・サンチェス

■ 会  期 2016年9月3日(土) ~ 9月15日(木)
  閉廊日:日・月曜日、開廊時間:12:00~19:00

■ 会  場 YOD Gallery
  530-0047 大阪市北区西天満4-9-15  TEL/FAX 06-6364-0775
    www.yodgallery.com
    info@yodgallery.com

■ 9月3日(土)18:00~ レセプションパーティー
    YOD Galleryにて

■ お問い合わせ
  YOD Gallery
  530-0047 大阪市北区西天満4-9-15  TEL/FAX 06-6364-0775
    E-mail:info@yodgallery.com
  ※画像データなどご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

 

□ 趣旨
    このたび YOD Gallery では、弊廊では初めての展示となるフィリピンのアーティストの現代作家5人展「2664km」を開催いたします。

    国には歴史があり、その時々に社会全体としての信条、価値観、アイデンティティを形成し続けています。他者という枠の中で国はどのように集団としてのアイデンティティを描き出すのでしょうか。距離を越え、見たこともない場所へ辿り着くとき、私達はどんな反応を受け、環境的刺激を受け、そしてそれは私達の世界観にどのように影響を与えるのでしょうか。

    2664kmは若手フィリピン現代作家5名によるグループ展です。タイトル「2664km」とはマニラと本グループ展開催地大阪の実際の距離を表しています。本展では距離と相対性という概念によりフィリピンと日本の文化、伝統、そして芸術実践における類似性や相違性がどのように明らかになるかを考察し、隣国である二国間の文化や伝統を平和的かつ創造的な方法で繋いでいくための観察と交流の機会になればと考えます。

    同じ東アジア地区に位置していながらフィリピンと日本の間には明らかな違いがいくつか存在します。例として、フィリピンは常に他のアジア諸国と植民地支配国の影響を色濃く受けてきたのに対し、日本は中国と(特にその言語において)いくつかの共通項を持ちながらも自由であったことがあります。フィリピンの人々は自らに影響を与える存在と自らのアイデンティティを結び付け、異なる文化を融合し、自らの文化と呼べる一つの美しい形へと変えることでアイデンティティを確立してきました。植民地支配以前の自分たちのものでは無かった祝祭日を祝い、新たな文化や生活様式を受け入れ、新たな伝統をスタートし、そしてこれらすべてを混ぜ合わせフィリピン風に仕立て上げました。この他者の精神を受け入れ自分たちの習慣や風習になじむ形へと変化させる行為は19世紀初頭から始まりやがて一般的なものとなり、アートにおいても同様のことが言えます。

    本展の参加アーティスト5名の中、作風に西洋の影響が強くみられるのはジェイソン・モンティノラ(Jason Montinola)とアレクサンダー・リム(Alexander Lim)です。この二人は既存の有名なイタリア絵画を現代風にアレンジした絵と技法を用いています。超現実的で夢のような構図で描かれる特定のドラマと形状への興味は、親しみあるものと見知らぬものとの距離を埋め、見る者に絶え間ない好奇心を生じます。キャンバスに油絵具というクラシックな手法を用い、彼らは見る者にありのままをさらけ出す匿名の存在を描き出しています。彼らの作品には過去に生み出された作品をそのまま描いた明るいものもあれば、時に暗く、グロテスクで圧倒するようなものもあります。

    潜在意識の暗闇を描き出し、人々の現実に入り込ませる――これはキャロイ・サンチェス(Kaloy Sancez)の作品にもみられる特徴ですが、彼の場合はより限定的アプローチをとっています。彼の作品は忘れられない記憶に対峙する際、きまって湧き上がる人々の心の底の欲望と不安に焦点を当てています。作品から放たれる感情はゆっくりと鳴る重低音のごとく人々の意識に忍び寄り、さらに多くの記憶をよみがえらせるかもしれません。

    かつて訪れた場所や愛着ある場所を思うとき、郷愁を感じることでしょう。こういった感覚は主観的なもので、知らない場所や環境であったとしても、周囲の数々のものをきっかけに引き起こされます。しかし、懐かしい昔を思い出す憂鬱の中にあっても、異なる環境に身を置くことは自らを豊かにする出会いにつながる、という新たな視点を持つことも可能です。日本はフィリピンの1時間先を行きます。人々が気にも留めないようなほんの些細なことかもしれませんが、芸術家のようなロマンチストにはとても大きな意味を持っています。時間は空間と共に存在する――そう科学は言います。この展覧会と展示作品にとっては、時が最も重要な役割を果たしており、中でも距離の関連概念としての時間を軸に作品を展開しているのがニックス・プノ(Nix Puno)とレンズ・バルヨー(Renz Baluyot)です。

    美術作家であり音楽家でもあるニックス・プノ。ほとんどの時間アートとミュージックシーンに浸り、現代のメディアとポップカルチャーを直に感じ取る彼にとって、これらは自然な存在であり、当然のことながら彼の作品に影響を及ぼしています。彼の生み出す絵画は音もなく静止したスナップショットであり、常に移り変わるポップカルチャーとメディア、そしてそのかつての姿との関係性を捉えた記録です。彼の作品は、また一瞬一瞬がどのように携帯可能なデジタルメディアやインターネットでのピクセル、イイネ、そしてシェアという形態に変換されるのか、人々はどう反応するのか、といったことについての探求でもあります。

    レンズ・バルヨーは自身の視覚言語を用い、時間がもたらす変化に取り組んでいます。彼の作品は環境が人々の意思、生活スタイルやコンディションを映し出す様、そして現代都市社会の構成要素が錆び、最終的に塵となる様を描き、問いかけています。近代都市に共通する都市衰退のイメージと存在は、そこに住む人々の生と死のサイクルを映し出します。腐敗は距離の指標、距離とは文化と歴史の距離であり、時と場所の距離です。そしてそれは、例えば従兄弟(親戚)の死のように、全ての人にとってさほど遠くはない存在なのです。

    美術はそれぞれ異なる存在によりもたらされた創造であり、美術作品はそれを作り出す者の文化やアイデンティティを反映します。本展の作品が多様な視点を受け止め、フィリピンと日本という二つの国の類似点や相違点を集めまた検証できたなら、興味深い対話が生まれるでしょう。本展覧会をきっかけとして、アートが懸け橋となる。-美術の歴史が始まって以来、常にそうであったように。是非この機会にご高覧賜りますよう、お願い申し上げます。




□ Even These Stones Will Cry Out -マーティン・ホナサン個展-

     2016年9月17日(土)~10月1日(土)



■ Even These Stones Will Cry Out -マーティン・ホナサン個展-

■ 出品作家 マーティン・ホナサン

■ 会  期 2016年9月17日(土) ~ 10月1日(土)
  閉廊日:日・月曜日、開廊時間:12:00~19:00

■ 会  場 YOD Gallery
  530-0047 大阪市北区西天満4-9-15  TEL/FAX 06-6364-0775
    www.yodgallery.com
    info@yodgallery.com

■ 9月17日(土)18:00~ レセプションパーティー
    YOD Galleryにて

■ お問い合わせ
  YOD Gallery
  530-0047 大阪市北区西天満4-9-15  TEL/FAX 06-6364-0775
    E-mail:info@yodgallery.com
  ※画像データなどご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

 

□ 趣旨
    このたびYOD Galleryでは、フィリピンにて注目の現代作家マーティン・ホナサン(Martin Honasan, b1976 ケソン市、フィリピン)の日本初個展「Even These Stones Will Cry Out」を開催いたします。ホナサンはゲシュタルトやパレイドリアといった心理学的観点から、顔に焦点を当て抽象的な肖像画を生み出す作家です。彼の作品では‬絵具やキャンバスといった画材と人物の顔が構成要素として同等に扱われ、鑑賞者の視覚と心が生み出す像を通して倫理観、精神性、存在と意味を問いかけます。‬

    2016年6月、ホナサンは寝屋川市のYODレジデンス滞在作家として一ヶ月間家族と大阪で過ごし、制作を行いました。大阪での生活は彼自身、またその作品にどのような影響を与えたのでしょうか。是非この機会にご高覧賜りますよう、お願い申し上げます。

    アーティストステートメント

    大阪府寝屋川市昭栄町に着いた時、すぐにその複雑さを感じ取った。同時にどこか無理のないシンプルさがある。どの国へ行っても最初に気づくのはその地の質感だ。-- 土地と、その上に繁栄する構造体。街のレイアウトと交通の流れを見れば、大体のシステムの重なりと配置、そして人々の感性を知ることが出来る。大阪ではバラエティに富んだ地元の人々に会った:身なりの良いビジネスマン、赤ん坊と出かける女性、生き生きした老人達。---ほとんどがママチャリと呼ばれる日常使いの自転車に乗っている。「ママの自転車」という意味らしい。外から来た者として、何代にもかけて磨き上げられある種の穏やかさと洗練を生み出した、一つの歴史の重なりに驚かされた。

    今回の滞在中、友人の日本人が淀屋橋中心部にある寺院に連れて行ってくれた。大阪府の中ではより活発な街だ。彼はここにきて静かな時を過ごし、また成功を祈るという。「崇拝」という概念について考えてみた。崇拝は大抵の場合寺院や祭司、そして儀式と結びつけられる。私自身は何かを崇拝する人自身が寺院となり、そういった人が集まり教会となる--崇拝とは個人が最も価値を置く存在に対し捧げるものだと信じている。多くの場合、人々は全て寺院であり、我々は自らが最も価値を置くものを中心として生活を築いていく。崇拝の対象となるものは、崇拝者自身のアイデンティティの中心部にあり、また賛美の中心となる。

    今回の作品群に描くのは、人間の衝動において最も一般的なものである崇拝、そしてそれがどのように我々のアイデンティティを構成するかについてのメタファー(暗喩)だ。私の作品はダメージから始まる。作業空間から回収されたカンヴァス小片のうち、ほぼ全てがリサイクルされ、次の作品に加わり、そして次のかけらを生み出す。私は今回も小片を寝屋川市に持ちこみ、大阪で新たに購入した素材を混ぜた。新しいカンヴァスと古いペインティングの一部にナイフと裁ちばさみで穴をあけ、切り、引き裂く。生まれてきた小片を折り重ね、しわくちゃにし、新たな面にコラージュする。コラージュは無作為なストロークにより彩色され、ストロークは広範囲のものから徐々に細く、繊細な動きへと変化し、人の顔として認識可能な部分が現れるまで続く。

    我々は、感情を最も即時に、また内面を表す道具として顔を用いる。本作品シリーズでは自身や身近な人々の顔のパーツを素材として用い、崇拝の親密性(誠実さ)と私たちの経験を伝えたい。


    イエスがオリーブ山の下り坂にさしかかられたとき、弟子の群れはこぞって、自分の見たあらゆる奇跡のことで喜び、声高らかに神を賛美し始めた。「主の名によって来られる方、王に、祝福があるように。天には平和、いと高きところには栄光。」すると、ファリサイ派のある人々が、群衆の中からイエスに向かって、「先生、お弟子たちを叱ってください」と言った。イエスはお答えになった。「言っておくが、もしこの人たちが黙れば、石が叫びだす。」 (ルカ19:37-40)


    展覧会タイトル「Even These Stones Will Cry Out」は直訳すると「石ですら叫びだす」という意味で、聖書「ルカの福音」の一部を元にしたものだ。パリサイ人がイエスの弟子たちを黙らせようとしたとき、イエスはこの世の全ては神を崇めるために創られたと答えた。本展の作品群は人間の衝動的崇拝に対する熟考であると同時に個人のアイデンティティを明らかにする崇拝、祈り、そしてその他信仰に関する行為のメタファーとなっている。

    ― マーティン・ホナサン





□ マーティン・ホナサン(Martin Honasan)プロフィール

    マーティン・ホナサン(Martin Honasan, b1976 ケソン市、フィリピン)はアテネオ・デ・マニラ大学学際科学科にて学位を取得(心理学&コミュニケーションアート専攻)。画家業に専念する前は作品制作の傍ら広告アートディレクターや(1999-2001)、自身のデザイン会社役員も務めていました(2001-2004)。ホナサンはフィリピンを中心に活動し、アクリルと水彩絵の具による絵画を主なスタイルとしています。2005年以降フィリピン、香港、日本と様々なグループ展に参加、個展も開催してきました。またArt Fair Philippines、Art in the Park、Bazaar Art Jakarta、Manila Artといった国内外のアートフェアにも参加しています。個展は2011年より継続的に開かれ、開催場所には2015年のフィリピン文化センターも含まれます。この度YOD Galleryでの個展が10回目となります。


[主な個展・グループ展]
2016   Art Fair Philippines, YOD Gallery X Kogure, Art Verité, West Gallery The Link,
         Parkway Drive, Ayala Center, Makati City, Feb. 18 - 21
2015   An Other (solo exhibit), Vinyl on Vinyl, 2F warehouse 2, 2135 Chino Roces Ave.,
         Makati City, Oct 21
         Shadows of Things to Come (solo exhibit), Boston Art Gallery,
         72 Boston Street, Cubao, Quezon City, Oct. 10
         Everything is Created Twice, Cultural Center of the Philippines,
         Main Theatre Building, Roxas Blvd., Pasay City,
         May 14 - June 14
         Art in the Park, Art Verité, Boston Gallery, Vinyl on Vinyl, Makati City, March 22
         Art Fair Philippines, CANVAS, The Link, Parkway Drive, Ayala Center, Makati City,
         Feb. 5 - 8
2014   Alay 17 (group show), Boston Art Gallery, 72 Boston Street, Cubao, Quezon City,
         Dec. 7 - 21
         Extended Play (inaugural group show), Vinyl on Vinyl, 2F warehouse 2,
         2135 Chino Roces Ave., Makati City, Aug 27
         2014 Soil (6th solo exhibit), Boston Gallery, 72 Boston St, Cubao,
         Quezon City, Aug 23 - Sept. 8
         Filipino Myths &Legends, Center for Art, New Ventures, & Sustainable
          Development, U.P.Vargas Museum, June 17 - July 15
         Asia Art Contemporary, Floren Gallery, Conrad Hotel, Hong Kong, May 15 - 18
         Art in the Park, Art Verité, Boston Gallery, Vinyl on Vinyl, Makati City, March 23
         Singularity (5th solo show), Art Galileia, Fort Pointe Building, BGC, Taguig, Feb. 28
          - March 14
2013   Alay 16 (group show), Boston Art Gallery, 72 Boston Street, Cubao,
         Quezon City, Dec. 7 - 21
         Everything The Same Way (group show), Ysobel Art Gallery, BGC, Taguig, Nov. 28
          - Dec. 11
         Zoology of a Concrete Jungle (group show), Gallery Orange, Bacolod City, Sept. 7
          - 30
         The Weight of Glory (4th solo exhibit), NOW Gallery, EcoPlaza Bldg., Makati City,
         Sept. 4 - Sept. 17
         Love Stories (group show), Galería Paloma, July - August
         The Night Nebula (group show), Paseo Gallery, A.R.T. Center,
         Megamall,Mandaluyong City, July 10 - 24
         The Human Hide (3rd solo exhibit), The Crucible Gallery, Megamall,
         Mandaluyong City, July 2-14
         Art Fair Philippines, Paseo Gallery, The Link, Parkway Drive, Ayala Center,
         Makati City, Feb. 7-10
2012   Then We Shall See (2nd Solo Show), Ysobel Art Gallery, Serendra, BGC, Taguig,
         May 21-June 9
         Pure Imagination (group show), Altromondo, Greenbelt 5, Makati City,
         Sept. 4 - 14
         After Caravaggio (group show), NOW Gallery, EcoPlaza Building, Makati City, Aug. 4
          - Sept. 1
2011   Digging In The Dirt (a solo exhibit), Yellow Door Gallery, Power Plant Mall,
         Rockwell October 7-22
         Manilart '11, Artes Orientes Gallery, NBC Tent, Bonifacio Global City,
         Taguig, July 16-19
         Ten, (group show), Ysobel Art Gallery, Serendra, BGC, Taguig, May 21-June 9
2010   Phases (group show), Yellow Door Gallery, Power Plant Mall, Rockwell, Sept.25
2009   Manilart '09, Quattrocento Gallery, NBC Tent, Bonifacio Global City, Taguig,
         16-19




□ 藤井 健仁展「New Personification: 鋼鉄のグランギニョール」 - Grand Guignol en Acier -

     2016年11月19日(土)~12月17日(土)



■ 藤井 健仁展
「 New Personification 鋼鉄のグランギニョール - Grand Guignol en Acier - 」

■ 出品作家 藤井 健仁

■ 会  期 2016年11月19日(土) ~ 12月17日(土)
    開廊時間:12:00~19:00、休廊日:毎週日・月・火曜

■ 会  場 YOD Gallery
    530-0047 大阪市北区西天満4-9-15  TEL/FAX 06-6364-0775
    www.yodgallery.com
    info@yodgallery.com

■ 11月19日(土) 18:00~ レセプションパーティー
    YOD Galleryにて

■ お問い合わせ
    YOD Gallery
    530-0047 大阪市北区西天満4-9-15  TEL/FAX 06-6364-0775
    E-mail:info@yodgallery.com
  ※画像データなどご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

 

 

□ 趣旨
    このたびYOD Galleryでは、藤井健仁(Takehito Fujii, b.1967)の個展「鋼鉄のグランギニョール 」を開催いたします。

    90年代より精力的に製作発表を行ってきた藤井は、鉄が近現代に生み出した「富、権力、暴力」を表象する著名人の顔を鉄の面に置き換える「彫刻刑 鉄面皮」(*)により2005年、第八回岡本太郎記念現代芸術大賞にて準大賞(大賞該当者なし)を受賞、2008年には愛知県芸術文化選奨 新人賞を受賞し、高い技術と表現方法が各方面から評価されています。

    藤井の表現は逆説に貫かれていると言っても過言ではありません。鉄鍛造という同技法同素材ながら対極的スタイルを持ち、しかもモダニズムから排斥され続けて来た「面と人形」を範とする二つのシリーズ、「鉄面皮」と「New Personification」を並行して制作している事からもそれは伺えます。「鉄面皮」では撲殺に等しい鍛造労働による殺意自体の形象化に始まりながら対象人物への善悪を超えたシンパシーに到達し、一方愛らしい人形を造形しながらもその材料である鉄との交錯の中で残酷かつ非情な制作物となる「NewPersonification」、双方とも初見の印象とは逆転した着地点を持っています。只、逆説の可能性を記号を並べての連想に委ねていくありがちな方法とも、定説に依存することで成立する当てこすりの逆説とも異なる、その逆説こそが実は本来の定説なのではないかと思わせる説得力は、作家が逆説と向き合い現実の重作業の中でそれを履行した結果練り上げられた技術と物品の強度によるものといえるでしょう。

    YOD Galleryにおける初の個展となる「鋼鉄のグランギニョール」では、「New Personification」に連なる新作の少女鉄人形等を展示いたします。ぜひこの機会にご高覧賜りますようお願い申し上げます。


- 作家ステイトメント -

鋼鉄のグランギニョール

グランギニョール、斬首や血飛沫が入り乱れる19世紀末フランス発祥の残酷劇。元々は人形劇であったらしい。 だがそれを冠するこの展示にはそうした鬼面人を威すが如きイメージを置く予定はない。準備されているのは控え目に改変された、いたいけな姿態の少女鉄人形だけである。

ではそれがどうしてグランギニョールなのか。素材と内実、鉄と人形の出会い、それ自体が残酷に相当するものであるから。しかもここ数百年で屈指の。なぜなら前近代迄、人形の祖である神像呪物は信仰の対象としてコミュニティの中心にあった。だが鉄の時代、産業革命を経て信仰の対象は経済及び科学に移ってゆく。ならば鉄と人形は世界の中心の座を巡って、未来と過去、駆逐した物とされたもの、それぞれ双方に相容れぬ対極的要素という事になる。鉄で制作される人形はこうした巨大な転換をその小さな肢体の中に招き入れざるを得ず、未来永劫軋轢に引き裂かれながら存在し続ける。しかもいたいけにはにかみながら。
制作に際しては昔ながらの手作業がもたらす質と強度は不可欠だが二つの要素それぞれが帰属するイメージのどちらにも偏らないよう留意する。だが記号からの連想に留めるのならばそこまでの労働は必要ない。二項を調停したまま先に進み、軋轢の果てにあるものを実際の物品として目の当たりとする為に必要となる労働である。
その物品の仕上がり次第によっては、ありえたかもしれない、別の「鉄の時代」を示唆する可能性もある。50年来、児童(特に男児)に支持されその想念に働きかけてきたロボットアニメーション、いわば「鉄の人形劇」は未だ定位されていない集合無意識の祖型なのではないかと思えるように。

藤井健仁 2016.10.3



*彫刻刑 鉄面皮について
何故、鉄で顔を作るのか

鉄という素材は、兵器や都市、モータリゼーションを加速度的に近代化させた事によって近現代世界の基底材となりました。近代化によって発生した巨大な権力、圧倒的な貧富の格差、そしてそこに生じる恐怖、憎悪、傲慢・・そうしたものは鉄から派生した物なのです。いいかえるならばそうした現代の鉄にまつわる事象は人類が鉄という素材から感じられたイマジネーションの発露でもあるのです。戦艦や剣、そして高層ビル等が「人間」によって立ち現された「鉄」であるならば、近現代という、鉄が生み出した状況によってアイデンティティーを獲得、或いは維持している人物達は「鉄」によって立ち現された「人間」であるといえます。ですから彼らの顔を彫刻する際に鉄を素材として制作するならば、他の素材(木、石、ブロンズ等)には及ぶべくもない親和性を発揮するのも自明であると考えます。

私の顔彫刻は一枚の鉄板をバーナーで熱しながらハンマーで叩いて造ります。ですから表面があるだけで中身は空洞です。顔彫刻を制作する際、鉄板の表と裏を叩いていくのですが、内面や精神性によって形成される部分は 裏側(内側)から、外的要因及び社会性によって形成 される部分は表側(外側)から叩いて造形します。丁度それは実際に人物の風貌が形成されていく様と同じであり、内と外が拮抗する境目である顔の表面こそ、個の存在の在処であるという事が制作手法にも反映されています。そしてその個人の存在そのものとも云える表面の起伏をトレースして行く事はその生の追体験でもあり、対象存在への善悪を超えた肯定感さえ芽生えて来ます。(ある種の愛情に近い感覚かもしれません)けれども彫刻がそのモデルの人物に「なった」か否かは、ある種の殺意に近い感情によって判断します。人物の頭部状の彫刻をハンマーで打ち据えてて行く中で、像がモデルとのシンクロ度が高まってゆき、一瞬、そのモデルの人物に対して害意を伴った暴力を振るっているかのような錯覚を得る事が出来、そこで作業を終えることが出来ます。この様な彫刻を造る為には殺人を可能にする量とほぼ同じ労働量を必要とするのかも知れません。「存在の肯定(愛情に近い)」や「殺すこと」、それらが「造ること」が同義語となった地点に立つ事によって

はじめて像が完成できるのです。これらの顔彫刻は人間が直に接する間合い(親和的関係での間合い、もしくは直接害せる間合い)での気配を再現しようとします。そこには地位や権力等の属性が及ばない、全方向からあけすけに見渡し、眺めることの出来る「単なる個」、「等身大の生」しか存在しません。この制作は、彼らモデル達の姿を「鉄」を媒体として顕すことによって逆に「鉄」にあたえられたアイデンティティーを相殺し、「等身大の生」に還元しようとする行為であります。私に撲殺されるかのようにハンマーで叩かれて造形され、そして見おろされ、眺め回される位置に置かれる像とされること・・・これは私がモデル達に出来るささやかな「刑」でもあるのです。

 本作、彫刻刑「鉄面皮」においては、個々に作られた頭部を「さらし首」状に配置しました。「さらし首」と、人物顕彰碑(いわゆる銅像)とは対称をなす物ですがそこに載せられる人物が時代や地域によって異なるだけであり、実際には同じ内実を持つ物と思います。この作品は世界中に存在する彫刻の大多数を占めているであろう、人物顕彰碑へのオマージュでもあるのです。

2003.6.14 藤井健仁



□ 藤井 健仁(Takehito Fujii)プロフィール

1967 愛知県名古屋市 生まれ
1990 日本大学芸術学部 卒


[個展]
2016 「New Personification Vol.5 GIRLSLIFESMITH」、日本橋高島屋美術画廊X(東京)
2012 「New Personification Vol.4 私たちのどこまでが鉄ではないのか」unseal contemporary(東京)
2009 「Double Irony」Gallery M contemporary art(愛知)
2008 「鉄面皮 Extended」ストライプハウスギャラリー(東京)
2007 「New Personification Vol.3 人形の融点」ストライプハウスギャラリー(東京)
2005 「New Personification Vol.2 PSEUDO METAL BOSSA」ストライプハウスギャラリー(東京)
2004 「彫刻刑 鉄面皮」ストライプハウスギャラリー(東京)
2003 「New Personification」ストライプハウスギャラリー(東京)
2002 「Exculpture」Gallery APA(名古屋)
         「Exculpture」PORT des ART(東京)
2001 「Exculpture」Gallery APA(名古屋)
         「個展」アートコレクション中野(名古屋)
1996 「小品展」Gean art space(埼玉)
1992 「個展」愛宕山画廊(東京)


[主なグループ展]
2015 「像形人間」みうらじろうギャラリー(東京)
         「現在幽霊画展」TAV GALLERY(東京)
2014 「TARO賞の作家 Ⅱ」川崎市岡本太郎美術館(川崎)
2013 「SUMMER SHOW 2013」日本橋高島屋美術画廊X/新宿高島屋美術画廊(東京)
         「溶ける魚 つづきの現実」京都精華大学ギャラリーフロール/Gallery PARC(京都)
2011 「激凸展」unseal contemporary(東京)
2007 「City_net Asia 2007」ソウル市立美術館(韓国)
2005 「第8回岡本太郎記念現代芸術大賞展」川崎市岡本太郎美術館(川崎)
2004 「第7回岡本太郎記念現代芸術大賞展」川崎市岡本太郎美術館(川崎)
2002  「KOREA MASS/JAPANESE FIGURE」MOK AM MUSEUM(韓国)
1999 「新世紀人形展」ストライプハウス美術館(東京)
1998  「WORK'S 98」横浜市民ギャラリー(以降1999、2000年参加)(横浜)


[受賞歴]
2008 平成19年度 愛知県芸術文化選奨 新人賞
2005 第8回岡本太郎記念現代芸術大賞 準大賞 川崎市岡本太郎美術館
  1999 新世紀人形展 日向あき子賞 ストライプハウス美術館(東京)
  1990 日本大学芸術学部 学部賞

 


※作品
    「海から離れて7 /フェノミーナ」 2014
    653×178×160 mm
    鉄、ガーゼ
    衣装制作 TOMOKO FUKUDA

    「転校生/スピードブレッド」 2016
    700×310×745mm
    鉄、チタン、プラスチック


















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